2012年4月17日火曜日

子どもに道徳的価値観をしっかり教える - エホバの証人: ものみの塔協会公式ウェブサイト


メキシコ人の母親,ロイダ*は,こう言います。「学校でコンドームが配られるので,子どもたちは,"安全な"セックスである限り,性関係を持ってもかまわない,と考えます」。

日本人の母親,信子は,こう言います。「息子に,『ガールフレンドと二人っきりになってしまったら,どうする?』と聞くと,『分からない』という答えが返ってきました」。

なたは,お子さんが歩き始めたばかりのころ,家の中でその子がけがをしたりしないように気を配ったのではありませんか。恐らく,電気のコンセントに覆いをしたり,鋭利なものを隠したり,階段に柵を設けたりしたことでしょう。それは皆,子どもを安全に守ろうとしてのことでした。

十代の子どもを守ることも,そのように楽にできればよいのですが,そうはいきません。今では,ずっと大きな心配を抱えています。例えば,『息子はポルノを見たりしていないか』とか,『娘は"セクスティング"をして,携帯電話で自分のみだらな写真を送ってはいないか』,さらには『子どもは性的に活発なのではないか』とかいった,ぞっとするような疑問がわいてきます。

支配しようとしてもうまくゆかない

親たちの中には,ヘリコプターで偵察するかのように十代の子どもの一挙一動を見張ることにより,24時間体制で監視しようとする人がいます。しかし,そのようにしたために子どもを地下に潜らせてしまった人も少なくありません。子どもが,親のさせまいとしている行ないをしながら,それを巧みに隠すようになったのです。

支配しようとしてもうまくゆかないことは明らかです。エホバ神ご自身,ご自分の創造した者たちに,そのような方法で従順を強いることはされません。ですから,親であるあなたもそうすべきではありません。(申命記 30:19)では,十代の子どもが道徳面で賢明な決定を下せるよう,どのように助けることができるでしょうか。―箴言 27:11。


"適切な要因とは何か"

基本的には,子どもとの話し合いを幼年期から始め,継続的に行なうことです。# (箴言 22:6)そして,子どもが青年期になっても,それを続けるのです。十代の子どもは,信頼できる情報を主に,親であるあなたから得るべきです。英国の少女アリーシャは,こう言います。「わたしたち若者は性について友達に相談したがる,と思われていますが,実はそうではありません。そうした情報は親が与えてくれるといいのに,と思います。親の言うことなら信用できるからです」。

正しい価値観が必要

子どもは成長するにつれ,性について基礎的な事柄を知る以上のことを必要とします。「自分の知覚力を訓練し,正しいことも悪いことも見分けられる」ようになる必要もあります。(ヘブライ 5:14)つまり,価値観―性に関するしっかりした信念から成る道徳律―を持ち,それに従ってゆかなければならないのです。では,どうすれば十代の子どもに正しい価値観を教え込むことができるでしょうか。

まず,ご自分の価値観について考えてみてください。例えばあなたは,淫行,つまり結婚関係外のセックスは間違っている,と固く信じておられることでしょう。(テサロニケ第一 4:3)恐らく,お子さんはその件に関するあなたの信念を知っていて,それを裏付ける聖書の章句を引用することさえできるかもしれません。質問されればすぐに,婚前交渉は間違っている,と答えることでしょう。

しかし,それだけでは不十分です。「セックス・スマート」(英語)という本によれば,一部の若者たちは,性関係についての親の信念にうわべでは同意しても,「十分な確信がなくて,しっかりした考えを持てず,思いがけない状況に直面して,『どこまで許されるか』というジレンマに陥ると,どうしたらよいか分からなくなり,本当に困ってしまい」ます。だからこそ価値観が不可欠なのです。では,どうすれば十代の子どもがそれを身につけるように助けることができるでしょうか。


宿題をする理由

自分の価値観をはっきりと示す。あなたは,セックスは結婚まで待つべきだ,と考えておられますか。そうであれば,十代のお子さんにそのことをはっきりと頻繁に話してください。「性に関する初歩的な事柄を超えて」(英語)という本によれば,調査の結果,「親が子どもに,十代での性交を是認しないことをはっきり教えてきた家庭では,子どもが性交渉を持つ年齢は高くなる」ということが明らかになっています。

もちろん,すでに述べたように,自分の価値観を話しさえすれば,子どもが必ずそれに従って生きるようになる,というわけではありません。しかし,家族の価値観がしっかりしていれば,子どもはそれに基づいて自分自身の価値観を形成することができます。様々な研究の結果は,十代のころに親の価値観を受け入れないとしても,後には受け入れる若者が少なくない,ということを示しています。

やってみましょう: ニュースとなっている出来事から話を切り出し,あなたの価値観を伝えてください。例えば,性犯罪について報道されたなら,こう話すとよいかもしれません。「男性が女性にあんなひどいことをするなんて,ぞっとするね。犯人たちはどうしてあのようなことを考えついたと思う?」

性について偏った教え方をしない。警告を与えることは必要です。(コリント第一 6:18。ヤコブ 1:14,15)しかし,聖書は主に,性をサタンのわなとしてではなく,神の賜物として描いています。(箴言 5:18,19。ソロモンの歌 1:2)十代の子どもに危険についてだけ告げるなら,性に関する歪んだ非聖書的な見方を持たせてしまうことになりかねません。コリーナというフランスの若い女性は,こう言っています。「両親が性の不道徳のことばかり強調していたので,わたしは性関係に対して消極的な態度を持つようになりました」。

性について偏った教え方をしないようにしましょう。メキシコのナディアという母親は,こう述べています。「わたしが子どもたちに理解させようと努めたのは,セックスは美しく自然なことで,エホバ神は人間がそれを楽しめるようにされた,ということです。ただし,この賜物は夫婦の間だけのものであり,用い方を誤れば苦しみをもたらすのです」。


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やってみましょう: こんど十代のお子さんに性について話す時には,話し合いを明るい雰囲気で終えるようにしましょう。性関係を,子どもが将来,結婚したら楽しめる,神からの素晴らしい賜物として描くことをためらわないでください。『あなたならきっと,結婚する時まで神の規準に付き従える』と思っていることを伝えてください。

結末の善し悪しを考えるように助ける。ティーンエージャーが人生のどんな面においても良い決定を下すためには,どんな選択肢があるかを知って,その善し悪しを比較考量する必要があります。何が正しくて何が間違っているかを知っていればよい,と考えてはなりません。オーストラリアのエマというクリスチャン女性は,こう言います。「自分が若いころに犯した間違いからすると,神の規準を知っているだけではそれに同意していることにはなりません。その規準に従うことの益と従わない場合の結末を理解することが肝要なのです」。

この点で聖書は助けになります。聖書は多くの場合,悪行の結末について述べることにより,神の命令の正しさを裏づけているからです。例えば,箴言 5章8,9節は若い男子に,淫行を退けるよう勧めています。それは自分の尊厳を他人に……渡すことのないためです。その聖句のとおり,結婚しないうちに性関係を持つ人は,自分の品性を汚し,忠誠心や自尊心を失うことになります。そうなると,結婚相手となる可能性のある,それらの特質を持つ人を遠ざけてしまいます。十代の若者たちは,神の律法を無視することの,身体面・感情面・霊的な面での危険について熟考するなら,神の律法に従って生きてゆこうという決意が強まることでしょう。%

やってみましょう: 例えを用いて,子どもが神の規準の知恵を理解するように助けてください。例えば,こう言えるかもしれません。「キャンプファイアはいいけど,森林火災は良くないね。その二つにはどんな違いがあるだろうか。その答えを,神が性に関して定めておられる境界にどう適用できるかな」。箴言 5章3‐14節の記述を用いて,子どもが淫行の有害な結末を理解するように助けてください。


日本に住む18歳の孝雄は,「正しいことをすべきなのは分かっていますが,今もなお肉の欲望との闘いがあります」と述べています。そのように感じている若い人たちは,そう思うのが自分だけではないという事実に慰められるでしょう。忠実なクリスチャンであった使徒パウロでさえ,「自分では正しいことをしたいと願うのに,悪が自分にある」と認めたのです。―ローマ 7:21。

ティーンエージャーが,そのような葛藤は必ずしも悪ではない,ということを理解するのはよいことです。そうした葛藤によって,自分が一体どんな人になりたいのかを熟考することになるからです。『わたしは自分の歩みを自分で決める,品性と忠誠心のある人として知られたいだろうか。それとも,他の人の言いなりになる人―弱々しく欲望に屈してしまう人―として知られたいだろうか』という問いに真剣に取り組めるのです。正しい道徳的価値観を持っているなら,その問いに賢明な答えを出せるでしょう。

聖書は時の試練に耐えてきた

「性行動に関する聖書中の諭しは,時の試練に耐えてきた。十代の若者で,早すぎる性活動,婚姻外の妊娠,エイズその他の性感染症などのために感情面での深刻な問題を抱える者が増えている時代に,……結婚するまでセックスをしないようにという聖書のアドバイスは,まことに適切であり,唯一の"安全なセックス"を勧める有益なものである」。―「十代の子どもを愛と道理で育てる」(英語)。


*  この記事に出てくる一部の名前は変えてあります。

#  性について子どもと話し合う際,どのように切り出したらよいか,また,年齢に応じて適切な情報を伝えるにはどうしたらよいかについては,「ものみの塔」2010年11月1日号をご覧ください。

%  詳しくは,エホバの証人の発行した「目ざめよ!」2010年4月号の「若い人は尋ねる…セックスをすればもっと親しくなれるだろうか」という記事をご覧ください。



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