「アメリカ留学の基礎知識(法科大学院)」は、アメリカのLaw School(法科大学院)への入学を希望する方々の為に書かれたものです。「アメリカ留学の基礎知識−大学・大学院」(またはアメリカ留学公式ガイドブック)と併せてご利用ください。
このページの目次
1 はじめに
2 留学生がLaw School(法科大学院)に留学するとき
A 外国人留学生の受け入れ
B 日米比較表-日米の教育制度・資格制度の違い
C Law School入学に必要とされる資格・条件・適性能力
D 奨学金
3 アメリカのLawyerの資格制度と職業分野
A 資格・免許制度
B 職業分野
C 外国人の受け入れ
4 アメリカの法学教育
A LLM
B JD
C SJD
D その他のプログラム
5 日本人留学生が留意すべき点
A 動機・目的:なぜLaw Schoolに留学したいのか?
B 大学選択(Law Schoolを選ぶとき)
C 出願条件(学力、英語力、経済力、その他の能力)
D 出願準備・時期
E 留学後の進路・キャリア
6 LLM以外のプログラムへの留学
7 ロースクールに関する情報源
●1. はじめに
最近のアメリカ留学の状況をみると、留学者の多様化とともに留学先も多様かつ専門化が目立つようになりました。 なかでも大学院留学は特定の学問分野での勉学や研究を目的としますので、教育内容を充分に調べなければなりません。法学教育に関しては、アメリカでは学部課程ではなく、大学院レベルのLaw Schoolで行われています。Law Schoolは、3年間アメリカ法を学ぶJDプログラムと、1年で比較法や国際法を学ぶMaster of Laws (LL.M: Master of Laws/M.C.L.: Master of Comparative Law)プログラムに大別されます (アメリカの法学教育)。外国人留学生もLaw Schoolに入学出来ますが、実質はアメリカでMaster of Law (LL.M/M.C.L.)プログラムで学ぶことを目的とし、自国ですでに法学の学位や法律家としての資格を持つ人が殆どといわれています。
「アメリカ留学の基礎知識(法科大学院)」では、外国人留学生の大多数が目的としているMaster of Lawプログラム(LL.MやM.C.L.)への留学を主体にとりあげます。
●2. 留学生がLaw School留学するとき
A. 外国人留学生の受け入れ
前述したように、外国人留学生がLaw School留学する場合、アメリカ法をみっちりと学ぶ3年間のJDプログラムではなく、国際法や比較法を学ぶ1年間のLL.Mプログラムを選ぶ人が殆どといわれています。Law School留学というものが、実際は1年間のLL.Mプログラム留学であることが多いという事実をまずは知っておきましょう。アメリカの留学生統計(Open Doors 2008, IIE)によれば、法学(Legal Professions & Studies)を学ぶ留学生は6,598人(全体の1.2%)となっています。(国別の統計は発表されていません。)
アメリカで法律を勉強する利点として、よりよい弁護士になるためや、アメリカや自国で法学部の教授になることの他に、全ての法律に関連する事柄に有利に働くことがあるという点があります。(その他に挙げられることとして、法律学術書の出版、法律関連のインターンシップ、ビジネス社会でのネットワークの作成、法務省での勤務、裁判官になるためなどがあります。)
B. 日米比較表 − 日米の教育制度・資格制度の違い
日本からアメリカのLaw Schoolに留学する場合は、まず日米の法学教育や資格制度の違いを知り、日本での教育と比較して「何故アメリカのLaw Schoolに留学するのか」という留学の意義と将来展望を明確にすることが重要です。
ここでは日米の教育システム・資格制度の違いについて、比較表を使って説明しています。(アメリカの法学教育)。Law School留学の代名詞である、LL.Mに入学するためには、日本では学歴として法学士号(法学部卒業)が必要であることにご注意ください。
(他分野の学士号取得者でも、法律分野で十分な職業経験・実績がある場合、Law Schoolによっては、入学が認められる場合がある。詳細は、各Law Schoolに問い合わせること。)
☆日本の法学教育
日本の法学教育は、近年の司法制度改革により制度が変わりました。これまで、日本の法学教育は、高校卒業後、4年制大学の法学部で行われていましたが、2004年4月、新たに「法曹養成に特化した教育を行うプロフェッショナル・スクール」としての法科大学院が開設されました。
学士を得た後法律家になるためには、この法科大学院を卒業する必要があります。修業年限は原則として3年ですが、法学既習者については2年生の短縮コースが設けられています。法科大学院修了者には5年以内に3回までの新司法試験の受験資格が与えられます。新司法試験は2006年から実施されており、従来の司法試験は2010年まで受験することが可能です。(ただし、2010年に行われる論文式試験に合格して口述試験に不合格となった受験生を対象にして、口述試験のみが2011年に実施されます。旧司法試験合格後に司法修習が行われます。) また、法科大学院を修了しなくても、予備試験に合格すれば、新司法試験を受験することができます。予備試験ルートは2011年から実施されます。新司法試験に合格した後は、実務家の指導の下で新� �法修習を行い、考試と呼ばれる最終試験を合格して初めて法律家(法曹:弁護士、裁判官、検察官の三者)としての道が開かれます。 (参考:「弁護士になるには」日本弁護士連合会)
C. Law School入学に必要とされる資格・条件・適性能力
以下は、Law School入学に必要とされる一般的資格・条件、および適性能力(下記参照)です。入学条件に、就労経験を必須としている大学もあるといわれます。適性能力(下記参照)の詳細を見てみると、学業だけでなく就労経験がコアスキル習得に有効であり、また能力証明にも寄与していることは想像に難くありません。
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