在仏の日本人の友人や知人は基本的に留学生や元留学生が多いので、「日本人留学生」がよく話題になります。
私は、語学講座で見かける日本人留学生の中に、授業に真面目に出席せず、その結果なかなか進級せず、時にはそれを先生との相性や学校の試験のシステムのせいにするように話す人がいるのが嫌で仕方がありませんでした。それで「授業に出ないなんて、あの人は一体何のために留学しているんだろう?」などとよく思ったし、そういう人とは付き合わないようにしてきました。
アメリカのトップ経営管理大学
ところで、最近、自分の高校の頃のことを思い出していました。高校の頃、高校までは親の世話になるのも致し方ないけれど、大学はオプションなのだから、親に学費を払ってもらってまでは進学しない、と思っていました。勉強はしかったけれど、両親の財布をアテにしたくなかったのです。多分、当時の私は、大学生は遊ぶためのお金を稼ぐアルバイトに明け暮れ、勉強もしないまま卒業する、というステレオタイプ的な大学生像を快く思っていなかったせいだと思います。そんな訳で、一旦就職して学費を貯めてから大学に進学するか(社会人入試の制度だってあるんだし)、昼間アルバイトをして夜間の大学に通うか、この二つの選択肢が候補に上がりました。私の気持ちは前者に傾いていました。その理由は、何かを専門� ��に勉強したいとは思っていたけれど、当時は「これ!」というものがなかったからでした。漠然とフランス語もしくはジャーナリズムの勉強をしたいとは思っていたけれど、どちらか一つに決められないことが、目的意識の低さを象徴しているような気がしました。
大学の単位時間とは何か
そういう状態だったので、高校3年の時には、とりあえず就職しようと思って公務員試験を受けたりしました。今だと、こんな調子で受験する人がいたら市役所も困るだろうと思うけれど、どうやって就職活動をすればいいのかよく分からなかったので。私の高校はいわゆる進学校だったし、就職か進学かで迷っている同級生はほとんどいなかったと思います。でも、私はなんとなく迷ってました。親しく話す先生が何人かいて、この先生方は遠回しに進学を勧めてくれていました。一つのことを飽きずに追究する性格と、ジャーナリズムに興味があることをご存じだったので、公務員には向いていない、例えば雑誌記者なんかが向いているんじゃないか(だから大学で勉強した方がいい)と提案までしてくれました。それでも、な� ��私は迷っていました。中途半端な気持ちで進学することが、潔く思えなかったからです。(中途半端な気持ちで就職する方が潔くない、と今では思いますが。)
私は宿題の質問をすることができますか?
まだ迷っていると言ったところ、一人の先生がこう言いました。「やりたいことが決まってないから大学に行かへん、というのも分かるけど、やりたいことを見つけるために大学に行ったってええんちゃう」。これで迷いが解けた気がしました。その後どういうやり取りを交わしたか正確には覚えていないけれど、いろんな人が集まってくる大学という場で、いろんな人に会って、いろんな価値観に触れた方がいいよ、というような話をしたと覚えています。一つのことにとことんはまり込むのは、見方によっては長所になるけれど、勢い周りが見えなくなりがちです。多分、先生は私のそういう性格を直した方がいいと思ってらしたんじゃないかなあ。はっきりとは指摘されなかったけど。結果として私は大学の夜間部に進学し、� ��間アルバイトをして、学費と遊ぶ資金を自分で賄うことができました。そんな小さな自己満足は横へ置いておくとして、夜間部の大学で学んだという経験は、自分の精神的な財産になっていると思います。昼間部に比べて規模が小さいので学部の枠を越えて人間関係が密だったし、働きながら学ぶ学生が多く、「卒業すること」より「学ぶこと」に重点をおいている学生が多かったような気がします。(これは、その後迷い込んだ別の大学の夜間部でも同じでした。)あの時、高校卒業後すぐに進学して正解でした。
というようなことをつらつら考えていて、ふと「留学も同じかな」と思い付きました。もう、留学それ自体は特別なことじゃなくなっているんだろうし、「やりたいことを見つけるために留学してみる」という人もいるんじゃないかな。「フランスに住んでみたいから(滞在資格を得るために)留学生として渡仏する」という人もきっといるでしょう。留学する人全員が語学習得や学位の取得を目的にしなければならないわけでもありません。「とりあえず大学に行ってみる」と「とりあえず外国に行ってみる」の違いなんて、もうないのかも。目的がないよりあった方がいいと思うのは、私の考え方が古いせいかもしれません。願わくは、留学生のみんなが、留学生活を通して何かを得られますように。語学力や免状である必要は� ��いと思います。留学してよかったと心から思えたらいいな。
冒頭で紹介した先輩留学生の皆さんとは、その後話す機会はありませんでした。学校の授業には不満があったかもしれないけれど、留学生活全体を通してみたら「プラス」と思えるものだったらいいのにな。
話を高校での進学指導に戻すと、一般にはどの大学に行くかが重要関心事項で、何のために進学するかという部分は疎かにされているんじゃないかな。でも、どの大学のどの学部を受験するかは、本人の興味や家庭の事情を考えたら、おのずと決まるものだと思う。偏差値や入試のテクニックの話をする代わりに、進学することに対する希望を持たせてくれた先生に感謝。彼の言葉通り、大学を卒業する時には、自分の社会人として進むべき方向がはっきり見えていました。その割には、退職して留学なんかしているし、多分このままフランスで暮らしていくと思うけど、どういう風に生きていくか大筋では定まっているつもりです。当面の目標(内緒)は留学当初の目標とかなりずれたけれど、自分の中では全部一つの流れでつな� ��ってます。
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